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こだわりの調理器具

こだわりの調理器具 私は、器具にあまりこだわりを持ちません。ただ、調理をする目の前の食材をきれいに、手早く切るために、包丁の手入れは毎日欠かさずします。お客様に喜んでいただきたいから、美味しいと感激していただける料理を。まずはそれが大前提で、その為に「こんなことがやりたい」、だから「この器具がほしい」となります。写真は、使い慣れたペティーナイフと特別なフルシェット(ミートフォーク)です。このペティーナイフは、料理人に成り立ての頃に購入したもので、もう30年近くいつも一緒にいます。野菜のトゥルネ(飾り切り)がうまくいかず、悔しくて、人参を何本も買って帰って家で練習したことも。これまでずっと苦楽を共にしてきた器具です。何回も研いでいるうちに、こんな形になってしまったけれど、シャトーなどのトゥルネをする時は、今もこのペティーナイフを使っています。光輝くような新しいペティーナイフを使うより、これを使う方が思いのこもったトゥルネができます。このフルシェットは、僕がニューオータニに入社した時に取締役総料理長だった古谷春雄シェフのものです。私にとっては本当に神様のような方で、話をすることさえも滅多にできませんでしたが、印象に残っている言葉があります。それは「気を遣いなさい。遣って相手に好かれるよう努力しなさい」です。私のレストラン経営の根本であり、このフルシェットを見る度、その言葉を思い出します。

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